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2016.12.06-12.18 展覧会とシンポジウム「梅棹忠夫と未来を語る」(終了)

ご挨拶

亡き父・梅棹忠夫とともに暮らしてきました京都・北白川伊織町の家をリノベーションし、貸しギャラリーとしてオープンしたのは2015年8月末でした。
幸い、多くの方々にご利用いただき、この1年間でたくさんの展覧会、イベントを開いていただくとともに、わたしたちが主催してコンサート、映画会、語らいの会などを開催することができました。
こうしたなかで、しばしばお声をいただてまいりましたのは、「梅棹忠夫に関連した会を」というものでした。しかし、父は過去を懐かしむことを好まず、おそらく自身の回顧展など想像もしなかったでしょう。反対に、未来を語り合うことを大いに楽しみ、そうしたときには自ら進んでまな板の上に乗りました。
そこでわたしたちが考えましたのは、「梅棹忠夫を肴にして、多くの人に未来につながる議論をしていただこう」というものです。
こうした考えのもと、今後ロンドクレアントでは、「梅棹忠夫と未来を語る」という通しテーマにて、企画展を年4回ほどのペースで開催していこうと思います。
以下、その第1回企画展の概要をお知らせいたします。ご高覧に賜れますと幸いです。

rondokreanto 主人 梅棹マヤオ

 

展覧会とシンポジウム「梅棹忠夫と未来を語る」

第1回企画展
梅棹情報学・文明学とコンピューター  〜生態系から文明系へ〜

2016年12月
6日(火)〜18日(日)11:00〜19:00 当廊にて展覧会
6日(火)17:00〜 オープニングパーティー 暦本純一さん在廊
10日(土)14:30〜 当廊にてシンポジウム「現代の知的生産の技術」
11日(日)10:30〜 国立民族学博物館にて討論会「梅棹アーカイブズ」梅棹資料室の特別見学
17日(土)14:30〜 法然院にてシンポジウム「文明と情報の未来〜生態系から文明系へ」
18日(日)     当廊にて特別講演会(予定)

 


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撮影/村越元

 

開催に当たって
撮影/村越元
梅棹忠夫は、1963年に論文「情報産業論」(この言葉は梅棹の造語)を発表して以来、「情報」に関して考察を続け、『情報の家政学』『情報の文明学』などの著作を世に送り出し、早くも現在のような情報社会を予測しました。また、1969年には『知的生産の技術』を著し、それまでの研究生活で培ってきた情報の整理、活用、発信の技術について開陳。同書は、学術研究に携わる人びとだけではなく、広く読まれベストセラーになりました。一方、梅棹は1956年に「文明の生態史観序説」を発表以来、人類の文明の研究に足を踏み入れ、それは1960年代の中頃から、京都大学人文科学研究所の共同研究になり、
・文明とは、人間と装置群、制度群でつくる系(システム)である。
・人類社会の進化は、生態系から文明系へ向かっている。
というところまで、すでに1960年代末から70年代初頭に行き着きました。どうやら、情報学と文明学は、同時進行的に深度を増していったようです。また、梅棹は、テクノロジーと人類の多様性の祭典であり、未来社会の見本市的な展覧会だった1970年開催の日本万国博覧会に深く関わりながら、人類文明の未来を考え続けました。そして、万博のテーマに「人類の進歩と調和」を引き出し、テクノロジーの進歩を高らかに歓迎する一方、「このまま進歩がつづけば、われわれはもう破滅するしか道はないのではないか」と人類文明の行く末を心配しました。やがて、こうした梅棹の思想は、「万博から民博へ」の標語のもと、梅棹自ら初代館長に就任した国立民族学博物館に、すべてが引き継がれていきました。
ところが、梅棹は1986年に視力を失い、それ以降、加速度的に進んだコンピューターライゼーションを自らはほとんど体験できず、ほぼ全盲に近い視力のまま、2010年に他界しました。もし、目が見えていたら、デジタル時代にどんな知的生産の技術を考えついたのでしょうか。コンピューターやインターネットを使いこなしていたら梅棹の情報学や文明学はどのように進んでいったのでしょうか。もはや想像するしかありません。

梅棹文明学の行き着いた「文明とは、人間と装置群、制度群でつくる系」のうち、「装置群」はテクノロジーであり、テクノロジーのなかで「情報」に関するものがコンピューターにほかなりません。情報社会といわれるのが現代文明ですから、コンピューターの存在は現代文明の大きな位置を占めているといっていいのでしょう。今回、展覧会とシンポジウムにより、もう一度、梅棹の情報学と文明学を踏まえ、さらに、梅棹が生きていたら何をいうか……という思いを持ちながら、わたしたちの未来を考える話題提供を目指します。開催に当たって、生前の梅棹と仕事をしてきた人類学者の方々はもちろん、生前の梅棹と接する機会はないにもかかわらず、梅棹の著作に影響を受けたコンピューター関連の最前線で研究を続ける研究者、メディアの変化を見続け、多くの書物を執筆、翻訳してきたジャーナリストをお招きします。東京大学大学院情報学環教授でAI、ARの専門家である暦本純一さんには、展示にもご協力を賜ることになりました。
ロンドクレアントとしては、一般参加者も加えて未来社会への議論を大いにしていただきたい次第です。

ロンドクレアント企画部 藍野裕之

 


「梅棹忠夫と未来を語る」
第1回
梅棹情報学・文明学とコンピューター  〜生態系から文明系へ〜

企画概要

当廊の旧主、梅棹忠夫が残した「知的生産の技術」「情報学」「文明学」に関する資料、記録写真とコンピューター・テクノロジーのコラボレーション。多分野の論客を招いてシンポジウムも開催。

展示

・2016年12月6日(火)〜18日(日)11:00〜19:00

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暦本純一さん

1961年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。ソニーコンピュータサイエンス研究所副所長。モバイルARシステム、マルチタッチシステム開発の理論的な礎を作った。現在、後を追う若手研究者から”AR界のゴッド・ファーザー“と呼ばれることも。

 

①暦本純一さんの最新研究を55inchディスプレイで展示
②暦本研究室開発のハピネス・センサー付き冷蔵庫
③エバーノートを使ったインスタレーション展示
④梅棹忠夫の知的生産の技術に関連する資料(梅棹資料室より複製品)
⑤10,000枚の「京大型カード」(梅棹が特注していた現物)
⑥ミニ写真展「梅棹忠夫の知的生産 フィールドと書斎」

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シンポジウム

●10日(土)14:30〜18:00 当廊にて
「現代の知的生産の技術」
要事前予約 会費3,000円(懇親会飲食を含む。先着30名)
暦本純一さん講演
「知的生産とは」
ワークショップ「フィールドノートからエバーノートへ」
堀 E. 正岳さん(海洋研究開発機構研究員)ほか

●11日(日)10:30〜13:30 国立民族学博物館にて(当廊は通常通り展覧会)
対談「梅棹アーカイブズ〜知的生産の技術は秩序と静けさのために」
小長谷有紀さん(人間文化研究機構理事、国立民族学博物館併任教授)
暦本純一さん
国立民族学博物館梅棹資料室の特別見学
要事前予約 無料(先着30名)

●17日(土)14:30 ロンドクレアント集合
16:00〜19:30 法然院にて 討論、そして京料理と美味しい酒
討論「文明と情報の未来〜生態系から文明系へ」 + ENYSI Presents 一味会
要事前予約 会費10,000円(特別料理付き、先着30名。ロンドクレアント展覧会は通常開催17:00まで)

梶田真章さん(本山 獅子谷 法然院 第31代貫主)
「情報社会と宗教」講話
暦本純一さん
「生態系から文明系へ 梅棹文明学と情報社会の未来」
服部桂さん(ジャーナリスト、翻訳家)
「ケビン・ケリーと梅棹忠夫 人間とメディアの未来」
久保正敏さん(国立民族学博物館名誉教授、千里文化財団専務理事)
「梅棹情報学・文明学とフィールドワーク 〜仮想体験と実体験の未来」

パネルディスカッション 「文明と情報の未来」

※演題はすべて予定です。若干の変更があるかもしれません。

●18日(日)特別講演会を予定中

主催/ロンドクレアント
協賛/株式会社ENYSi
協力/梅棹資料室
後援/京都新聞


2016.12.09追記

2016年12月8日京都新聞(夕刊)掲載記事
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